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2026年英国地方都市レポート② 英国の新卒就職事情~Graduate Scheme~
目次
1. 英国には「新卒一括採用」がない
英国の大学卒業は通常21〜22歳ですが、日本のように全員が一斉に就職するという仕組みは存在しません。卒業時点で正社員に就く人もいれば、アルバイトや契約職を経て徐々にキャリアを形成していく人も多く見られます。
実際、若年層(16〜24歳)の失業率は約12〜13%と、全体よりも高い水準にあります。これは、卒業直後にスムーズに職に就けない層が一定数存在することを示しています。
つまり英国では、「卒業=就職」ではなく、卒業後数年をかけてキャリアの入口を探すのが一般的です。
また、日本では近年、地元志向や転勤回避の傾向が強まっていますが、英国では依然として地域をまたいだ移動は一般的であり、この点もキャリアの作り方に影響しているようです。
2. Graduate Schemeとは何か
その中で、比較的明確なキャリアの入口となるのが「Graduate Scheme(新卒向け育成プログラム)」です。
これは主に大企業(金融、コンサル、IT、小売大手など)が提供するもので、期間は1〜3年程度。複数部署をローテーションしながら育成され、その後本配属されます。
日本の総合職に似ていますが、大きく異なるのは、対象が限定された“選抜型プログラム”であることです。誰でも応募できるものの、実際に入れるのはごく一部です。
また、企業ごとに特徴があります。例えば:
- ●金融機関:専門領域ごと(投資銀行、リスク管理など)に分かれ、早期から専門性重視
- ●コンサル:プロジェクトベースで実務に近い経験を積む
- ●小売・メーカー:現場→本社などのローテーション
つまり、「会社に入る」というより、特定の職種・領域に乗る入口という意味合いが強いのが特徴です。
ちなみに、Graduate Schemeの終了後は、継続雇用が前提ではあるものの、自動的に雇用が保証されるわけではなく、プログラム期間中の評価、本人の意向を踏まえて最終的な配属や継続可否が決まります。逆に、大手企業の選抜プログラム経験者として評価されると、 転職は比較的しやすいという面もあります。
3. 学生はどのように動いているのか
英国の学生は、「一斉に就活する」のではなく、かなり早い段階から個別に動きます。
典型的な流れはこうです。
■ 2年次〜3年次初期:インターン応募
多くの学生がサマーインターンに応募します。ここで評価されると、そのままGraduate Schemeの内定につながるケースも多く、実質的な本選考の前哨戦です。
■ 3年次:本選考(Graduate Scheme応募)
企業の採用ページや求人サイトから直接応募します。人気企業では秋〜冬に締切があり、「早い者勝ち」に近い側面もあります。
■ 選考プロセス
- ●オンライン応募(CV・志望動機)
- ●適性検査(数理・論理)
- ●ビデオ面接(録画)
- ●アセスメントセンター
特にアセスメントセンターでは、複数の候補者でディスカッションやケーススタディを行い、コミュニケーションや思考力を評価されます。
■ 日本との違い
日本のようにリクルートスーツで説明会に並ぶ光景はほとんどありません。
代わりに、
- ●私服でキャリアイベントに参加
- ●LinkedInで社員に直接コンタクト
- ●自分で情報を取りに行く
といった、より主体的な動きが求められます。
また、「とりあえず有名企業を受ける」というよりも、
- ●金融に行きたい
- ●マーケティングをやりたい
といった職種ベースで選ぶ傾向が強いのも特徴です。
英国の新卒就職は、「全員が同じスタートラインに立つ」仕組みではなく、早期選抜型のキャリアと、時間をかけて形成するキャリアが並存する構造になっています。
また、地理的な移動や職種ベースの選択が前提となっている点も、日本との大きな違いです。
一見すると不安定にも見えますが、その分、後からキャリアを修正する余地も大きく、柔軟性のある労働市場とも言えます。
こうした構造は、日本の雇用にも徐々に影響を与えていく可能性があります。英国の若者の動きは、日本の少し先を考えるうえで、興味深いヒントになるように思われます。
