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地方自治体における令和の人材育成・確保基本方針策定のポイントと留意点とは⁉

総務省は2023年12月に「人材育成・確保基本方針策定指針」を公表し、すべての地方自治体に基本方針の改訂を求めています。当社では、この指針に基づく自治体の人材育成・確保に関するご支援を実施しています。

地方自治体における人材育成・確保は、持続可能な行政運営の基盤となる重要な取り組みです。少子高齢化やデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進の流れを踏まえ、各自治体が現状に即した基本方針を策定することが求められます。本記事では、人材育成・確保基本方針の策定にあたり、押さえるべきポイントや注意点について解説します。

基本方針の意義と背景を明確にする

基本方針は、対象となる自治体が、その地域においてどのような課題を抱え、なぜ人材育成・確保に取り組むのかを明確にすることが重要です。少子高齢化による労働力人口の減少や住民ニーズの多様化、DXの推進といった社会的背景を踏まえ、「働きやすい環境づくり」「業務力向上」「職員の幸福追求」といった目的を示すことで、職員の理解と共感を得やすくなります。

求められる職員像の明確化

今後の行政運営に必要な職員像を具体的に定義し、それに基づいた育成・確保策を設計することが不可欠です。たとえば、「DXを活用して業務を改善できる職員」「地域住民と協力しながら課題解決に取り組める職員」など、具体的な人物像を示すことで、人材育成の重点領域が明確になります。

研修体系と職場内育成(OJT)の充実

職員の成長機会を確保するため、OJTを軸に据えつつ、研修体系を整備することが重要です。具体的には、階層別研修、eラーニングや資格取得等によるリスキリング支援、デジタル人材育成などを体系的に組み込み、職員がスキルアップしやすい環境を整備します。

採用戦略の強化と多様な人材確保

リファラル採用の導入や、インターンシップ・採用説明会の充実、民間の人材紹介会社との連携を通じて、より適した人材の確保を図ります。また、多様な人材が定着できるよう、メンター制度の導入やフレックスタイムや副業解禁など柔軟な働き方の推進が求められます。

職員の働きやすさを向上させる仕組みの整備

ワークライフバランスを重視し、フレックスタイム勤務や育児支援制度の充実を図ることで、職員が安心して長く働ける環境を整えます。また、ハラスメント対策の強化やメンタルヘルス支援を通じて、職員の健康維持と職場の心理的安全性を確保することが重要です。

人事評価とキャリア形成支援の充実

職員の意欲向上と適正な配置を実現するため、公正な人事評価制度を整え、その結果を昇進・昇給だけでなく、キャリア形成やスキルアップ支援にも活用することが重要です。自己申告制度を活用し、職員が自身のキャリアについて主体的に考え、希望を伝えられる仕組みも必要です。

定期的な基本方針の見直し

時代の変化や職員のニーズを反映させるため、策定した基本方針は定期的に見直すことが不可欠です。職員アンケートの結果を踏まえ、実効性のある施策へとアップデートを続けることで、持続可能な人材育成・確保の仕組みを維持していきます。

自治体が今後も質の高い行政サービスを提供し続けるためには、戦略的な人材育成・確保の取り組みが欠かせません。本基本方針を基に、より魅力的で働きやすい職場環境を構築していくことが求められます。

この記事を書いた人

ヒサエダコンサルティング
久枝良彰
監査法人トーマツのマネジメントコンサルティング部、およびグループ会社のトーマツコンサルティング株式会社で、組織・人事コンサルティングのプロジェクトマネージャーとして在籍。平成17年9月に、有限会社ヒサエダコンサルティングを立ち上げ、代表取締役に就任。これまで、多数の企業・公的機関・医療機関に対して、組織・人事制度のコンサルティング支援を経験している。また、学校法人産業能率大学の契約講師として、全国の企業・地方自治体の管理職研修・人事評価者研修を多数実施している。平成21年度より、中小企業基盤整備機構・中小企業大学校の契約講師も務める。九州大学大学院(MBA)修了、「組織論」を中心に研究。
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