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2026年英国地方都市レポート① ~賃金は伸びるが、暮らしと雇用には、お重さ~
1. 物価と住宅コスト――「落ち着きつつも重い生活」
今回、英国の地方都市を取り上げたのは、主要7か国(G7)の中でも、日本と比較しやすい要素が多いためです。人口規模は日本より小さいものの、成熟したサービス経済、高齢化の進行、地域間格差、そして政治・経済の不確実性といった構造は共通点も多く見られます。加えて、労働市場の柔軟性や賃金の調整メカニズムなど、日本とは異なる点も明確であり、対比することで日本の現在地や今後を考える材料になると感じています。
2025年秋に英国の地方都市を訪れた際、私は「高い物価」と、それを一定程度支える「賃金の伸び」を印象的に感じました。2026年3月の今回、その構図は大きくは変わらないものの、少し違う側面が見えてきます。
英国の消費者物価指数(CPI)は直近で前年比約3%程度と、ピーク時よりは落ち着いてきました。ただし、サービス分野の上昇率はなお4%前後と高く、外食や宿泊などの価格の高さは地方都市でも日常的に感じられます。
特に目立つのは住宅コストです。英国の民間賃貸の平均家賃は月額約1,300ポンド(約24万7,000円)まで上昇しており、住宅価格の上昇に遅れる形で家賃が押し上げられています。
この点は、日本の地方都市とも共通しています。例えば福岡でも、住宅価格の上昇の後に家賃が上がり、可処分所得への負担が増しています。
2. 賃金と雇用――「伸びる賃金、緩む雇用」
英国の平均賃金は前年比で3〜4%程度の伸びを維持しており、2026年4月には最低賃金も時給12.71ポンド(約2,415円)へ引き上げられます。2025年10月以降、日本全国の最低賃金の加重平均は、1,121円となっていますので、ちょうど倍の金額になります。
一方で失業率は5%台前半まで上昇し、求人件数も70万件程度へ減少しています。賃金は伸びているが、雇用はやや緩んでいるという状況です。
AIの影響もあり、企業は「人を増やさずに回す」方向へ動いています。
3. AIと地政学、そして人事への示唆
直近ではアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃を受け、ガソリン価格などの上昇が懸念されています。
このような環境下では、現業系の人材需要は底堅い一方、ホワイトカラーは採用抑制が見られます。人事の役割は「採用拡大」から「限られた人員での運営」へと変化しています。
