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中小企業でも本格化する定年延長
近年、多くの中小企業で定年延長の検討が本格化しています。
これまでは、一部の大企業や、人材確保が喫緊の課題となっているトラック業界・建設業界などを中心に、65歳を超える雇用制度や定年延長の整備が進められてきました。一方で、それ以外の多くの中小企業では、60歳定年、65歳までの継続雇用を前提とした制度を維持している企業が少なくありませんでした。
しかし、人材不足が深刻化するなか、私自身もここ1~2年で、定年延長や役職定年の見直しについて相談を受ける機会が増えてきました。いよいよ、多くの中小企業でも本格的な制度設計が始まっていると感じています。
定年延長を検討するにあたっては、単に定年年齢を延長することではなく、次のような論点についても検討する必要があります。
- ●役職の定年は何歳とするのか。
- ●エキスパート制度や嘱託制度など、既存の制度を今後どのように見直していくのか。
- ●既存の定年対象者への対応や、人件費への影響、年齢別の人員構成などを踏まえ、一気に制度を変更するのではなく、段階的に定年を延長するか。
- ●現在50歳以上の社員を対象にシミュレーションを行い、制度変更によってどの程度の人件費が必要になるのか。
- ●給与制度や退職金制度など、処遇全体をどのように見直すのか。
このように、定年延長は年齢だけを変更すればよい制度ではありません。現在の社員構成や将来の人件費、既存制度との整合性などを総合的に見据えながら、自社に合った制度設計を行うことが重要です。
また、制度そのものだけでなく、対象となる社員が納得できる移行方法を設計することも、円滑な制度運用には重要なポイントとなります。
定年延長は、人手不足への対応という側面だけでなく、「これからのベテラン社員に、どのような役割を期待するのか」を考える機会でもあります。
制度だけを変更しても、社員が長く活躍できる仕組みになっていなければ、その効果は十分に発揮されません。
定年延長とは、「何歳まで働いてもらうか」を決める制度ではなく、「何歳まで活躍してもらうか」を考える制度です。
だからこそ、役職や処遇、既存制度との関係、人件費への影響まで含めて総合的に検討することが、企業と社員の双方にとって納得感のある制度づくりにつながります。
これから定年延長を検討する企業には、「制度改正への対応」という視点だけでなく、「ベテラン社員が長く活躍し続けられる組織をどうつくるか」という視点で議論を進めていただきたいと思います。