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外部研修派遣、なんとなく決めていませんか?

― 外部研修(Off-JT)を“戦略的な人材育成”に変える視点 ―

例年、2月頃になると、各種研修機関から
「4月以降の新年度研修」「外部研修・eラーニングのご案内」
といったパンフレットやメールが一斉に届きます。

この時期、多くの企業が新年度の教育研修計画を検討し始めますが、実際の現場を見ていると、外部研修(Off-JT)の派遣が、やや場当たり的になっているケースも少なくありません。

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【人事担当者も「現場任せ」、現場は「タイトル」と「前例」で判断】

よく見られるのが、次のような構図です。

・人事担当者は
 「現場のことは所属長が一番分かっているはず」と考え、
 研修の人選を現場の所属長に委ねている

・一方で、現場の所属長は
 送られてきた研修パンフレットの
 タイトルや対象層だけを見て人選している

・あるいは、
 「以前からこの研修には行かせているから」
 「前任者も受けていたので、新任の誰々さんも今回も行かせる」
 といった、前例踏襲型の判断で決めている

結果として、
「なぜ今年もその研修なのか」
「その人に、今、本当に必要なのか」
といった問いが十分に整理されないまま、研修派遣が続いていきます。

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【理由があるようで、実は浅い研修選定】

実際には、次のような選び方も多く見受けられます。

・人事評価シートで「企画力」「創意工夫」の点数が低かった
 → 企画力向上研修に行かせる

・4月から新たに●●の担当を任せる
 → とりあえず関連研修に行かせる

・等級要件で●●が求められているが、まだ水準に達していない
 → その項目名がついた研修に行かせる

一見すると「目的がある」ように見えますが、
本人の課題の本質や、組織としての育成方針まで踏まえて選ばれているかというと、決して十分とは言えません。

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【Off-JTは「成長プロセスの一部」】

外部研修(Off-JT)は、次のような視点で捉える必要があります。

・どのような役割を本人に期待しているのか
・今、どのレベルにいるのか
・次の段階に進むために、何が不足しているのか

これらを踏まえた、成長プロセス全体の中の「一手段」として位置づけることが重要です。

研修に行かせること自体が目的になってしまうと、
「受けただけ」「現場に戻ったら元通り」
という結果になりがちです。

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【これからのOff-JTに必要な視点】

新年度の外部研修を検討する際には、次の視点が重要です。

・目的の明確化
 この研修で、何ができるようになってほしいのか

・選出根拠の言語化
 評価結果、役割期待、等級要件とのつながりは何か

・OJTとの連動
 研修後、職場でどのように活かすのか

・年間計画としての整理
 場当たりではなく、1年を見通した計画になっているか

外部研修(Off-JT)は、
「とりあえず行かせるもの」から
「育成を前に進める仕掛け」へと発想を変えることで、効果が大きく変わります。

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新年度を前に、
「今年の研修派遣は、誰が・どんな意図で決めているだろうか」
一度、立ち止まって見直してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

ヒサエダコンサルティング
久枝良彰
監査法人トーマツのマネジメントコンサルティング部、およびグループ会社のトーマツコンサルティング株式会社で、組織・人事コンサルティングのプロジェクトマネージャーとして在籍。平成17年9月に、有限会社ヒサエダコンサルティングを立ち上げ、代表取締役に就任。これまで、多数の企業・公的機関・医療機関に対して、組織・人事制度のコンサルティング支援を経験している。また、学校法人産業能率大学の契約講師として、全国の企業・地方自治体の管理職研修・人事評価者研修を多数実施している。平成21年度より、中小企業基盤整備機構・中小企業大学校の契約講師も務める。九州大学大学院(MBA)修了、「組織論」を中心に研究。
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