- ホーム
- 人事のミライを考えるメディア
- 若手重視の基本給急上昇が進む中で組織が考えるべきこと
若手重視の基本給急上昇が進む中で組織が考えるべきこと
約25年間、組織人事のプロフェッショナルとして活動してきましたが、ここ2~3年ほど、過去にないほど多くの企業から給与制度や基本給テーブルの見直し依頼が寄せられるようになっています。
2024年11月現在は、2026年4月の新卒採用を見据えた動きとして、高卒・大卒の初任給を10%、20,000円程度引き上げようとする企業が増加しています。加えて、第二新卒や20歳代の給与を上げる取り組みも活発化しています。
一方で、40歳代や50歳代の基本給はさほど上昇しておらず、給与カーブが右肩上がりではなくフラット、もしくは「寝かされた」状態となっています。このような状況は、企業が若手人材を確保するために初任給を引き上げる一方で、全体の人件費を抑制する必要があるという現実を映し出しています。
2023年や2022年には賃上げが5%前後あったとされていますが、実際には年収ベースでそれほど増えていないケースが多いようです。現在、多くの企業が初任給競争に巻き込まれており、その対応策として、賞与の一部やみなし時間外手当を基本給に移管したり、属性手当的な制度を廃止して基本給に組み込むといった動きが進んでいます。
しかし、本質的な解決策は、年齢や性別、国籍に関係なく、能力の高い社員や実績を上げている社員を適切に評価し、それを迅速に処遇へ反映することにあります。短期的な制度変更だけでなく、長期的視点での公正な評価基準の整備が、企業の持続的成長に寄与するでしょう。
企業の給与改革がどのような方向に進むべきかを考えるうえで、現在の課題と対策を整理することが重要です。このような変革期において、組織全体での一貫した取り組みが求められています。