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パート社員の正社員登用制度を整える──人材確保と定着を両立する仕組みづくり

人手不足が続く昨今、「採用」に頼るだけでなく、「今いる人材」をどう活かすかが、企業経営の大きなカギを握っています。
長年働くパート社員の中から、正社員としての活躍を期待できる人材を社内で育成・登用していくための制度整備をご紹介します。


■制度設計の第一歩:条件を“見える化”する

制度設計においてまず取り組むのは、「正社員登用の条件を具体的に定義する」ことです。
勤続年数、勤務安定性、評価結果、本人の意思など、登用の判断基準を社内で明文化し、毎月の登用機会や人事評価との連動性を整理することで、公平で透明なプロセスを実現しています。

この取り組みでは、勤務地や雇用形態(フルタイム・時短)による就業パターンや業務範囲、賞与・残業手当の取り扱いなどを整理した比較表を作成
多様な勤務形態のもとで、どこまでがパートで、どこからが正社員かという「境界線」を会社として明確にします。


■まだ対象でない方にも希望を持ってもらうために

登用要件がありますので、すぐに全てのパート社員が対象になるわけではありません。
ただし、現時点で要件を満たさない方にも、「近い将来、こうなれば正社員になれる」という目標を提示することが非常に重要です。

「この会社で続ければチャンスがある」と前向きにとらえるパート社員が増え、離職防止にもつながる効果が期待されます。
企業にとっても、「自社をよく知っている信頼できる人材」を手放さずに済むことは、大きなメリットです。


■国の助成金制度「キャリアアップ助成金」の活用も視野に

登用制度は、国の「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」の対象にもなり得ます。
令和7年度の制度では、条件を満たせば中小企業で1人あたり最大80万円(40万円×2期)等の助成金を受け取ることができます。

さらに、「勤務地限定」「短時間正社員」などの制度を新たに設けることで、加算額が支給される可能性もあります。


■現場の納得感を高める制度へ

登用制度を社内に周知する際には、「今すぐ登用される人だけでなく、これから目指す人にも分かりやすく説明する」ことが大切です。
制度導入と同時にパート社員向けの説明会や掲示物を通じて、

  • ●正社員との違いや条件の概要

  • ●登用のチャンスは誰にでも開かれていること

  • ●継続勤務の大切さ

を丁寧に伝えることで、現場のモチベーションが向上し、正社員登用に対する前向きな意識醸成につながります。


■まとめ:制度は「人を活かす」ためのもの

正社員登用制度は単なる「制度」ではなく、人を信じ、育て、活かすための道筋です。
安定して働いているパート社員の方々にこそ、安心して長く働いてもらいたい。
そして企業にとっても、優秀な人材を逃さない戦略的な人事施策となり得ます。

これからの人材戦略の中心は、「外から採る」より「中から育てる」。
そのための基盤づくりを、ぜひ一緒に進めていきましょう。

この記事を書いた人

ヒサエダコンサルティング
久枝良彰
監査法人トーマツのマネジメントコンサルティング部、およびグループ会社のトーマツコンサルティング株式会社で、組織・人事コンサルティングのプロジェクトマネージャーとして在籍。平成17年9月に、有限会社ヒサエダコンサルティングを立ち上げ、代表取締役に就任。これまで、多数の企業・公的機関・医療機関に対して、組織・人事制度のコンサルティング支援を経験している。また、学校法人産業能率大学の契約講師として、全国の企業・地方自治体の管理職研修・人事評価者研修を多数実施している。平成21年度より、中小企業基盤整備機構・中小企業大学校の契約講師も務める。九州大学大学院(MBA)修了、「組織論」を中心に研究。
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