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介護施設における人事施策の好循環とは?

本格的な高齢社会を迎え、近年、介護に関係する事業も益々増加、多様化してきました。

これに伴い、当社でも、老人ホームなどの介護施設からの人事施策に対する相談が増えてきています。相談内容は、職員の離職率の高さやサービス品質、人間関係、動機づけ、シフト、職員間のコミュニケーションや連携の問題、コンプライアンスなど様々です。

利用者満足度向上を実現するためには、日々、利用者と接する施設で働く職員のモチベーションや意識の向上など、人材活性化を指向した人事施策が必要です。また、経営方針(施設のミッションや組織で共有すべき価値観)から介護システム・組織運営、人材活用指針まで一貫性のある取り組みと継続的な見直しを行っていくことが重要です。

今回は、老人ホームを例に取って、どのように一貫性のある人事施策に取り組むか、以下にポイントを上げます。

1.施設のミッションや価値観の明確化

  • 施設のミッション、価値観の再定義
  • 利用者への案内
  • 職員への周知徹底

2.組織運営の見直し

  • 介護システムや業務改革への取り組み
  • 介護や接遇品質、職員のモラルチェック
  • 経営陣による行動指針の継続的発信などコミュニケーションの促進

3.採用

  • 施設のミッションや価値観に共感できる人材の採用
  • 良い人材を集めるための職場環境と人事施策

4.人材育成

  • 施設のミッション、サービスレベルや利用者様への姿勢、接遇、役割や能力基準に即した人材育成

5.評価

  • 一定期間の利用者への姿勢、接遇、能力等の評価とフィードバック

6.報酬

  • 給与、賞与に評価結果を公平に反映・賞与は、入居率等の業績も加味。
  • 金銭以外のインセンティブプラン

7.昇進・配置

  • 年功ではなく、評価結果に応じて昇進
  • サービス品質、職員の公的資格や育成も考慮した配置

8.退職

  • 当施設に適応しない職員の退職による新陳代謝

9.制度の運用の徹底や改善点の継続的見直し

  • 利用者アンケートと職員アンケートの継続的実施
  • 要望に対する回答・対策の迅速な明示

ここまで進めたら終わり、ということはないですが、上記人事施策の好循環を作り出すことが、職員満足度を高め、ひいては利用者満足度向上や介護事故等の予防にもつながります。

この記事を書いた人

ヒサエダコンサルティング
久枝良彰
監査法人トーマツのマネジメントコンサルティング部、およびグループ会社のトーマツコンサルティング株式会社で、組織・人事コンサルティングのプロジェクトマネージャーとして在籍。平成17年9月に、有限会社ヒサエダコンサルティングを立ち上げ、代表取締役に就任。これまで、多数の企業・公的機関・医療機関に対して、組織・人事制度のコンサルティング支援を経験している。また、学校法人産業能率大学の契約講師として、全国の企業・地方自治体の管理職研修・人事評価者研修を多数実施している。平成21年度より、中小企業基盤整備機構・中小企業大学校の契約講師も務める。九州大学大学院(MBA)修了、「組織論」を中心に研究。
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