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人事制度が必要になる時

2009/04/04

キャリアパスや人事評価などの体系的な人事制度は、事業所数にもよりますが、社員数が20名~30名までは必要ないと考えます。
なぜならば、経営者が日頃から彼ら彼女らの仕事ぶりや能力を容易に把握することができ、それによって、処遇や人材育成を行えば良いからです。

しかしながら、これ以上に社員数が増えてくると、経営者は社員の名前と顔は覚えていても、仕事ぶりや能力までを把握することは難しくなってきます。そういった時に、人事制度が必要になってきます。実際、弊社にも、この企業ステージの依頼が多くあります。

具体的に、このステージの企業はどんな問題点やニーズがあって、人事制度を必要とされるのでしょうか。例えば、以下のような事項が挙げられます。

 ・創業メンバーとその後に入社した第2、第3世代では、会社や仕事に対する意識が異なる。第2、第3世代にも経営者の考え方を浸透させ、これに見合った処遇をしたい。

 ・創業メンバーとその後に入社した社員とで、前者は経営者にとって人間的には評価できるが必ずしも高い専門能力を持っているとは言えない。一方、第2、第3世代は経営者の考えを十分理解しているとは言えないものの、高い専門能力を持っている。当社の評価基準を整理し、何に対する処遇なのかを明確にしたい。

 ・社員数が増えてきたことで、組織階層を作り、管理職に権限を委譲していきたい。そのためには、当社の社員に求める行動規範や評価基準を明確にする必要がある。

 ・本社から離れた都市や海外に拠点を出すにあたって、一定のものさしで、教育や処遇を行いたい。

 ・当社の社員も30歳代が増えてきて、今後、当社の中でどのようにキャリアアップできるのか、その時々で、どんな役割やどの程度の給与水準が得られるのか、を示していきたい。

 ・そろそろ当社の社員にも、家族手当や住宅手当、退職金を考えてあげたい。

 ・当社も新卒を採用していきたいので、教育やキャリアアップの仕組みを設ける必要がある。

 ・これまで経営者が採用の都度、本人の前職や希望も踏まえて、基本給やその他の処遇を決めていたが、社員間の能力や役割と処遇の矛盾が生じてきた。

などのことが挙げられます。社員数が多くなることで、経営者のコントロール範囲を超える部分が多くなり、処遇だけでなく人間関係やコミュニケーションを含めた問題が起きてきます。

万能薬ではありませんが、上記のような時に人事制度という仕組みが必要になってくるのだと考えます。

この記事を書いた人

ヒサエダコンサルティング
久枝良彰
監査法人トーマツのマネジメントコンサルティング部、およびグループ会社のトーマツコンサルティング株式会社で、組織・人事コンサルティングのプロジェクトマネージャーとして在籍。平成17年9月に、有限会社ヒサエダコンサルティングを立ち上げ、代表取締役に就任。これまで、多数の企業・公的機関・医療機関に対して、組織・人事制度のコンサルティング支援を経験している。また、学校法人産業能率大学の契約講師として、全国の企業・地方自治体の管理職研修・人事評価者研修を多数実施している。平成21年度より、中小企業基盤整備機構・中小企業大学校の契約講師も務める。九州大学大学院(MBA)修了、「組織論」を中心に研究。
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