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ジョブ型人事制度、折衷案はいかに!?

近年の働き方改革に加え、新型コロナウイルス感染防止に伴うテレワークの増加により、新聞報道や企業の間でも「ジョブ型人事制度」への関心が高まっています。

ジョブ型は目新しい言葉ですが、これまでも賃金制度としては、職務給や役割給、少し解釈を広げると成果給も、今回言われているジョブ型に相当すると考えられます。そう考えると、突然、日本企業の制度変更が始まったわけではなく、2000年以降、徐々に日本企業の等級や賃金、評価基準は移行されつつあります。

ところで弊社では、2021年4月の導入に向けて、現在、従業員800名規模の企業様の人事制度見直しに関与していますが、このケースで、ジョブ型に移行が進む部分と、そうでない部分を整理してみると、以下のような内容になります。

 

【ジョブ型に移行が進む部分】

・職能等級が、ジョブグレードになる。

・ジョブグレード・職種毎に、職務記述書(職務の大・中・小分類・求められる知識・スキルなど)ができる。

・職務記述書の内容について、ジョブグレード評価として、人事評価の一部に活用する。こちらの結果は、給与改定と昇格に反映する。

・目標管理を年2回実施し、その結果により賞与が決定する。

・管理職については、諸手当はなく、人事評価結果によって、毎年基本給の洗い替えがある。

 

【ジョブ型に移行しない部分】

・ジョブグレードと言っても、職務記述書だけでなく、職種共通の職能要件的な定義も設けている。

・人事評価の一部は、「報告・連絡・相談」「チームワーク」「責任感」「職場規律」等の項目で、従来の能力評価やコンピテンシー評価で行う。

・高いレベルの職務を実施しているから上位等級や上位役職に昇格・昇進するという訳ではなく、3年程度の最低現等級在籍年数要件があり、複数年の人事評価結果など、複数の要件を昇格要件として設けている。

・非管理職の基本給は、人事評価結果によって大小はあるものの、毎年上がる仕組みになっている。

ジョブ型への移行が進んでいくことは間違いありませんが、各企業の置かれた内外環境を踏まえて制度移行を進めることが肝要ですし、社員の意識改革や管理職のマネジメントスキル向上とセットで、よりベターな制度移行を進めていくことが必要ではないでしょうか。

 

 

この記事を書いた人

ヒサエダコンサルティング
久枝良彰
監査法人トーマツのマネジメントコンサルティング部、およびグループ会社のトーマツコンサルティング株式会社で、組織・人事コンサルティングのプロジェクトマネージャーとして在籍。平成17年9月に、有限会社ヒサエダコンサルティングを立ち上げ、代表取締役に就任。これまで、多数の企業・公的機関・医療機関に対して、組織・人事制度のコンサルティング支援を経験している。また、学校法人産業能率大学の契約講師として、全国の企業・地方自治体の管理職研修・人事評価者研修を多数実施している。平成21年度より、中小企業基盤整備機構・中小企業大学校の契約講師も務める。九州大学大学院(MBA)修了、「組織論」を中心に研究。
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