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地方自治体の人事課が頭を抱える、悩ましい人事評価結果。目標管理編
平成28年度より、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律により、地方自治体では、本格的に職員の人事評価が実施され、処遇や人材育成へと活用されるようになりました。
そこで、この平成29年2月~3月は、処遇に活用される初めての人事評価を実施されている職員、評価者が多いと思われます。
私は外部専門家として、複数の市町村で人事評価運用アドバイザーを務めており、各評価者に自身が付けた部下の評価内容を持ってきていただき、意見交換やアドバイスをしていますが、その際、評価者に対して行ったコメントの一部をご紹介します。今回は、目標管理編です。
- 同一部署の上司(先輩)と部下(後輩)で目標は同じであるにも関わらず、難易度が異なっている。主担当と担当で関与度合いが異なり、難易度も異なっているということであれば問題ないが、すり合わせができていないために難易度が異なっていれば問題である。
- 〇〇事業として、複数の目標を一つの目標としてまとめて設定し、たくさんの職務があるので、「高」難易度となっている。自身の職務紹介となっている。目標の重点化が重要である。さくさんの職務を担当して能力を発揮していることは、能力評価で評価する。
- 今年度より、期末に難易度変更ができるが、一次評価者が本人に対して説明なく難易度を変更すると、部下との信頼関係を損なう恐れがある。難易度変更の際には、上司部下間での合意形成が重要である。
- イベント集客数等を数値目標とした場合、相手や天気などの外部環境で左右されるため「高」難易度としている目標がある。こういった場合は、無理に数値化するのではなく、自身の取り組むべき内容を目標(状態目標)とした方が妥当である。
- 定型業務が多く、目標を立て難い部署があるのは事実である。期初に、係内で課題整理シートの共有と共に、ミーティング等で改善事項の洗い出しをしていただくことは有効である。
- 「全体的にがんばっているから」「高いポテンシャルがあるから」という理由での高評価は、目標評価には当てはまらない。達成できていない目標を無理に高い点数にすると、本人は来年度以降も妙な期待をしてしまう。
- 新規事業イコール「高」難易度ではなく、新規で相当の努力を要する目標が「高」難易度である。
目標管理についてはそもそも期初の目標記述や難易度に問題があり、評価が難しくなっている状況があります。評価者だけでなく、一般職員の目標記述や点数についての理解を深め、より納得性の高い評価、人材育成につながる制度としていくことが求められます。