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急がれる組織人事のグローバル化
先日、シンガポールにて、現地のヘッドハンターの方と話をする機会がありました。
その方によると、近頃は日本の中小企業から、シンガポール及び周辺国に拠点を持つための、支店長クラスの人材の問い合わせが増えているとのことです。
しかし、日本人の現地状況に精通した方、外国人の日本語が話せる方、いずれも紹介することが難しい状況であるとのこと。つまり、日本企業は人気がないということです。
どうやらその理由は、複数あるようです。
1つ目は、低賃金であること。日本企業の場合、一般に現地採用は本社(本国)採用よりも低い賃金水準に設定しているケースがほとんどです。しかし、アジア市場でも支店長を務める程の有能な人材であれば、日本円で1,000万円程度の年収は普通ですので、どうしても海外企業に太刀打ちできないようです。また、この10年以上、日本企業は昇給額が抑えられていますが、この慣習をそのまま持ち込むと成長著しいアジア市場では敬遠されます。
2つ目は、ガラスの天井です。現地採用の場合、現地の責任者は任されても、それ以上の昇進は望めません。その点、欧米の会社はアジア地区の現地採用者であっても、一定の昇進の機会は開かれています。また、どのようなパフォーマンスを上げれば昇進できるのかを明確に伝えることも必要です。「熱心に頑張れば昇進できる。」では、海外では通用しません。
3つ目は、様々なことが明文化されていないことです。例えば、海外では、ジョブディスクリプションとして採用時点から、どんな職務や役割があるか、どのような能力水準を求めているか、を詳細に明示し本人が合意した上で、はじめて雇用契約を結びます。もちろん日本企業にも職務分掌はありますが、採用時に、詳細な職務分掌を出して求人する会社は稀ではないでしょうか。
既に日本は、国際競争力でアジア諸国に後れをとっています。アジア諸国では、1位香港、3位シンガポール、6位台湾、16位マレーシア、19位中国、22位韓国が続き、日本は世界第26位です。(IMD WORLD COMPETITIVENESS YEARBOOK 2011)
高齢化や労働力人口の減少、そして日本経済の縮小が続く中、海外に市場を求める動きは益々加速していきますが、そこで日本的な考え方のみを押し付けるのではなく、現地やグローバルから見た組織人事のあり方としてはどうか。企業理念を踏まえつつ、海外で本当に成果を上げていくための組織人事を構築することが急がれています。