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生き生き組織の作り方

2010/12/10

最近、生き生きとした組織づくりに関連するテーマで、偶然にも2つの講演依頼をいただきました。

私としては同じテーマの依頼だったので準備のことを考えると有り難かったのですが、ところで、なぜ今、「生き生き組織」が求められているのでしょうか。今回は、ここから考えていきます。

その背景には、日本の市場や企業の成熟化や低成長の一方、新興国は目覚ましい勢いを見せていることにあるでしょう。どうしても中国や東南アジアの人々が生き生きと羨ましく見えます。また、日本企業の場合、人材面でも組織の高年齢化や若者の内向姿勢、また価値観や雇用の多様化などが、組織の勢いを削ぐ要因になっているのかもしれません。

そのような中、どうすれば組織が生き生きとするのか。

当然ながら業績の善し悪しが大きく影響しますが、組織の内面に目を向けると、①人材・価値観・雇用の多様化に対応する、②優秀なリーダーを育てる、③ベクトルを合わせ、組織の底上げを図る、の3つが大切であると考えます。

「①人材・価値観・雇用の多様化に対応する」については、働く側の年齢や家族構成、価値観、ワークライフバランスの考え方を含めて多様化している現在、会社が勤務形態や処遇などについて多様な選択肢を準備する必要があります。かつてのように、序列で出世するという一律的なキャリアパスではなく、原則、希望人事とし、社員自身が自分で働き方を選択し自己責任のもとで力を発揮することで、社員の“生き生き”を促すことが大切です。

「②優秀なリーダーを育てる」については、環境が複雑化する中で、組織が置かれた状況を把握し、どのようにリードするか(HOW)だけでなく、なぜ(WHY)何を(WHAT)やるのか、を考えて、メンバーを巻き込みながら成果を発揮できるリーダーが求められます。人材育成の基本は、何と言ってもOJT(職場内教育)ですが、このようなリーダーが育つためには、序列組織の中で上が下を教えるだけでなく、自己啓発を含めて様々な教育や体験の場が必要になるでしょう。

「③ベクトルを合わせ、組織の底上げを図る」については、一定の仕掛けが必要です。例えば、ベクトルを合わせるということでは、ホテルリッツカールトンに代表されるような“クレド”などの共有・浸透は効果的です。経営理念や行動規範を人事評価項目に落とし込むバリュー評価なども様々な企業で取り組まれてきています。また、能力レベルの底上げということでは、職務のマニュアル化や基本の再訓練など、その意味合いを含めて根気強く実施することも必要でしょう。また、これらの頑張りが正当に評価され、処遇を含めて賞賛されなければなりません。

これらの3つの取組みは、同時並行的に取り組んでいく必要があります。人を育てたり、組織づくりと言うと、「今は人材流動化の時代なので、人材や組織に投資しても、投資対効果が出ない」と言う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、優れた企業というのは国内外を問わず、やはり人を育て、その文化を組織の中で育んでいます。

さて、皆さんの組織は“生き生き組織”づくりのために、どのような取組みをされているでしょうか。

この記事を書いた人

ヒサエダコンサルティング
久枝良彰
監査法人トーマツのマネジメントコンサルティング部、およびグループ会社のトーマツコンサルティング株式会社で、組織・人事コンサルティングのプロジェクトマネージャーとして在籍。平成17年9月に、有限会社ヒサエダコンサルティングを立ち上げ、代表取締役に就任。これまで、多数の企業・公的機関・医療機関に対して、組織・人事制度のコンサルティング支援を経験している。また、学校法人産業能率大学の契約講師として、全国の企業・地方自治体の管理職研修・人事評価者研修を多数実施している。平成21年度より、中小企業基盤整備機構・中小企業大学校の契約講師も務める。九州大学大学院(MBA)修了、「組織論」を中心に研究。
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