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日本人に求められるグローバル人材の3つの要素とは?

2013/07/01

安部政権に代わって、ますますグローバル人材という言葉を聞くようになりました。確かに、日本や日本人の海外での活躍がこれまで以上に求められることは言うまでもありません。

グローバル人材という言葉ですが、アクセンチュアの書籍では、「グローバル化が進展している世界の中で、主体的に物事を考え、多様なバックグランドを持つ同僚・取引先・顧客等に自分の考えをわかりやすく伝え、文化的・歴史的なバッググランドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて、相手の立場に立って互いを理解し、さらにはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すことができる、といった要素を数多く合わせ持った人材」(新興国進出のためのグローバル組織・人材マネジメント,東洋経済新報社)と定義しています。

少々長い定義ですが、要点を押さえた定義だと思います。中でも私は、「特性の差異を乗り越えて」という箇所に注目しました。では、日本人が国際舞台に立つ際に乗り越えなければいけない特性の差異には、どのようなものがあるでしょうか。私自身の近年の国際的な人事コンサルティング活動を通じて、日本人は、語学力に加えて、特に「発言力」「相手の見方」「危機意識」の3点については、ギャップがあり乗り越えていく必要があると感じています。

一つ目は、「発言力」です。会議やワークショップの際、物怖じすることなく、しっかりと自分の考えを述べていく必要があります。また、相手から意見を求められたら、自分の考えを一言や1回の発言で終えるのではなく、自分の発言に対して相手が答え、さらに深掘りして発言するといった議論を深める力が必要尾です。沈黙は悪と考え、自分のプレゼンスを高めることが重要です。

二つ目は、「相手の見方」です。日本人は、特に初対面の際、相手の人となりよりも、会社名や肩書、年齢など何かしらの型やカテゴリーに当てはめたがります。報道や、プライベートでの出会いなどでも、その傾向が強いと言えます。相手の肩書や属性を見るのではなく、相手の人間性や価値観、考え方に興味を持って応対することで、肩書同士ではなく、本当の人間の付き合いが生まれます。

三つ目は、「危機意識」です。国内の報道を見ていると、日本の技術力や開発力は素晴らしく、今もって世界のトップに立っている、という分野を探しては誇らしく報道しています。しかしながら、近年私が頻繁に行っているシンガポールやマレーシア、香港等と比べると日本が遅れている分野は、法やインフラ整備、IT、男女格差まで多岐に渡ります。グローバル化に伴い、市場や競争環境、仕事の条件が変化していることに目を背けずに、自ら危機感を持って行動することが必要でしょう。

「発言力」「相手の見方」「危機意識」の3点は、いずれも失敗を経験しながら、意識してアンテナを立て、準備することで、向上できることです。簡単ではありませんが、日本や日本人がこれまで以上に国際舞台で活躍するための要素がここにあると考えます。皆さんの組織にもグローバル人材がいるでしょうか。

この記事を書いた人

ヒサエダコンサルティング
久枝良彰
監査法人トーマツのマネジメントコンサルティング部、およびグループ会社のトーマツコンサルティング株式会社で、組織・人事コンサルティングのプロジェクトマネージャーとして在籍。平成17年9月に、有限会社ヒサエダコンサルティングを立ち上げ、代表取締役に就任。これまで、多数の企業・公的機関・医療機関に対して、組織・人事制度のコンサルティング支援を経験している。また、学校法人産業能率大学の契約講師として、全国の企業・地方自治体の管理職研修・人事評価者研修を多数実施している。平成21年度より、中小企業基盤整備機構・中小企業大学校の契約講師も務める。九州大学大学院(MBA)修了、「組織論」を中心に研究。
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