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悩ましい医師の人事評価制度
病院の人事評価制度の適用は、ここ10数年、急速に進んでいます。要因としては、看護師や介護士等の専門職採用が困難になる中で、採用時だけでなく、入職後、如何に、働き甲斐や成長を実感していただけるか、という環境整備が必要になってきたためと考えられます。同時に、キャリアラダー(パス)制度等も整備され、昇格や配置等の考え方もより仕組化されています。
その一方で、あまり進んでいなかったのが、医師の人事評価制度です。これまで、他職員の人事評価制度や評価結果に伴う処遇は進んできましたが、医師のそれは聖域化されていました。導入が難しい主な理由としては、個々の医師の専門能力や行動について、客観的な評価が難しい、評価する人がいない等でしょうか。目標管理を適用し、医師に適切な目標設定をしていただくというのも大変な負担になりかねません。
また、医師の処遇については、入職時の事情により給与が高騰したり、医師間の給与水準のバラつきが大きい、諸手当が多く複雑化している、どのランクの医師までを時間外手当の対象にするのか等、処遇に関する悩ましい点もたくさんあるようです。
当社で、医師の人事制度の見直しをする際は、以下の2点をポイントにしています。
1点目は、人事評価については、「他職種との連携」「報告・連絡・相談」「勤怠・規律性」等、医師の専門性そのものを評価する訳ではなく、職業人としての能力や行動について、上司または他職種の管理職(例えば看護部長)等が評価を行うこと。
2点目は、一定の原資を設定し、業績給を適用することです。業績給は、前月の病院全体または担当診療科の診療報酬の何パーセントとします。このまま配分しても結構ですし、手術や急患受入れ、担当患者数等をポイント化して分配することも考えられます。
ただ、最も難しい点は、上記のような新しい制度を、より納得性を得て導入できるかという事です。そのためには、事前の医師職員からのヒアリング、検討及び導入段階での丁寧な説明、もちろん合理的な制度内容といったことが必要となるでしょう。給与については、調整手当等の移行措置も必要になります。なかなか悩ましい医師の人事制度見直しですが、病院の屋台骨ですので、今一度、点検されてはいかがでしょうか。